悪魔のようなアナタ ~with.Akito~




「本当に目が離せないな、お前は?」

「晃くん……」

「俺が過保護になったのはお前のせいだ。尤も、俺が過保護になるのはお前に対してだけだけどな」


晃人は楽しげに笑い、灯里の頭をさらっと撫でる。

その瞳に灯里は吸い込まれるような気がした。

――――いつでも優しく、大人な幼馴染。

灯里の一番大切な人……。


「もう少し見たら出店の方に行ってみるか?」

「うん!」


春の風が桜の枝を揺らして吹き抜けていく。

灯里は桜吹雪の中、繋いだ手にぎゅっと力を込めた……。


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