悪魔のようなアナタ ~with.Akito~



「晃くんて、ほんとにいいお店いっぱい知ってるよね。なんで?」

「忍村にいた頃に接待で使ったりしていたからな。今はあまりないが」


晃人の言葉に灯里はなるほどと頷いた。

晃人は今総務・経理を担当しているが、これが商事部門担当だったりしたら今でも接待があったのかもしれない。

晃人は苦笑し、続ける。


「正直、あまり接待は好きではないな。それならお前とこうして食事する方がよほどいい」

「晃くん……」


灯里は胸を突かれ、まじまじと晃人を見た。

取締役である晃人は仕事でもプライベートでも何かと忙しい。

家に帰っても税務の本やら何やらを読み耽っていることがよくある。


重人に言われたことは今でも心に残っているし、晃人が将来忍村の重鎮となることもわかっている。

けれど晃人が自分を求めてくれるのなら、自分は彼の期待に応えたい。

例え周りに何と言われようとも、晃人が自分を望むのなら……。

――――自分は、晃人の傍にいたい。


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