悪魔のようなアナタ ~with.Akito~
クリスマスも、お正月も、お盆も……。
昔の楽しい思い出の中には必ず晃人がいた。
晃人が灯里の傍を離れてからは、イベントの度に灯里は晃人と過ごしたことを寂しい気持ちとともに思い出していた。
灯里はちらりと傍らの晃人を見上げた。
晃人も少しは灯里のことを思い出してくれたのだろうか?
仕事で忙しく、恋人もいた晃人。
婚約者だった女性とは別れたと聞いたが、きっとその前にも付き合った女性はいたに違いない。
このルックスで取締役となれば女の方が放っておかないだろう。
考えているとなんだかモヤモヤしたものが胸に広がっていく。
そんな灯里の隣で、晃人はツリーを見上げながら口を開いた。
「見ていると、お前の家にあったツリーを思い出すな」
「晃くん……」
「あのツリー、まだあるのか?」
晃人も同じことを考えていたらしい。
灯里の心の奥がじわりと温かくなる。
灯里は少し笑い、慌てて言った。
「うん、あるよ。ここ数年は出してないから倉庫の奥にしまってあるけど」
「そうか。来年は昔みたいにツリーの飾りつけをするのもいいかもな。お前と一緒に……」