悪魔のようなアナタ ~with.Akito~
晃人の笑顔は灯里を安心させ、勇気づけ、灯里の心を温かく包んでくれる。
幼い頃は晃人といると時間が過ぎるのがとても早く感じた。
もし、自分が行くことで晃人が喜ぶのなら……。
たとえまだ覚悟ができてなくても、晃人が喜んでくれるのなら……。
「……晃くん……」
そんな気持ちで『行く』と返事をしてもいいのだろうか?
これが普通の日なら『行く』と返事したかもしれないが、さすがにクリスマスとなると生半可な気持ちで返事は出来ない。
――――悩ましい。
灯里は頭を抱え込んだ。
その時。
ブルルっと携帯が鳴り、画面が光り出した。
晃人だ。
灯里は一瞬息を飲んで携帯を見つめた後、通話ボタンを押して電話に出た。
「もしもし」
『夜分にすまない。……灯里、起きていたか?』
昔から聞き覚えのある懐かしい声が電話の向こうから響いてくる。
起きてたよと灯里が言うと、晃人は電話越しに少し笑った。