悪魔のようなアナタ ~with.Akito~
晃人が連れてきたのは町の中心にある高層ビルのレストランだった。
50階建のビルの48階にあるレストランからは街の夜景を一望できる。
灯里は眼下に広がる光景に目を輝かせた。
「綺麗……」
海岸線から山の裾野まで、橙色の光の海が一面に広がっている。
冬の澄んだ空気の中、一つ一つの灯りが温かい光を放っている。
灯里の瞳に映る光の波を眺め、晃人がくすりと笑う。
「天気が良くてよかったな、灯里。この時期でもここまで綺麗に見えることはあまりないだろう」
「晃くん……」
「さぁ、灯里。飲み物はどうする?」
晃人は飲み物のメニューを手に取り、広げながら言う。
灯里は夜景を見つめたまま口を開いた。
「前に海のレストランで晃くんが選んでくれた、オレンジとシャンパンのお酒……。あれがいいな」
「わかった」
晃人は言い、通りかかったウェイターに自分の分と合わせて手早く注文した。
ちなみに料理はクリスマスなのでコース料理限定になるらしい。