悪魔のようなアナタ ~with.Akito~
「安心しろ、灯里。今日はこれ以上はしない」
「……晃くん……」
「お前が俺を受け入れてもいいと思うまで、俺は待つ」
「えっ……」
「少しずつ慣れていけばいい。今日はスタートラインだ」
晃人の言葉は灯里の胸を正面から貫いた。
目を見開いた灯里を、晃人は愛しげな目で優しく見つめる。
その眼差しに灯里は心のどこかが溶けるのを感じた。
――――どこまでも優しい晃人。
ここに来るまで、晃人は何度も逃げ道を用意してくれた。
けれど自分は一緒にいたいという想いだけで、ここまで来てしまった。
手を取ったのは自分の意思だ。
ずっと一緒にいたいと、その想いに突き動かされるように手を取ってしまった。
けれど一緒に居たいという気持ちはあっても、まだ一線を越えるだけの覚悟はできていなかった。
そんな灯里の心を晃人は見抜いていたのだろう。
胸に熱いものが押し寄せ、目頭がじわりと熱くなる。