悪魔のようなアナタ ~with.Akito~
翌朝。
灯里は窓から差し込む陽の光にうっすらと目を開けた。
ふと目を上げると、至近距離に晃人の整った顔がある。
「……っ」
精悍な頬も、長い睫毛も、形の良い唇も……。
見つめているだけで胸が熱くなり、同時に心が締め付けられるように痛む。
もう灯里にもはっきりとわかっていた。
――――自分は晃人が好きだ。
幼馴染ではなく、ひとりの男性として。
灯里はそっと晃人の頬に手を伸ばした。
すべらかで温かい肌も、お日様の香りも……昔から変わらない。
昨夜晃人は灯里を抱くことはなかった。
優しい口づけと、優しい愛撫と、そして……。
10年ぶりのお互いの体の感触を懐かしい思いとともに分け合った。
今は10年前よりもっと近くにいる感じがする。
心も、体も……。
「……灯里?」
晃人の長い睫毛がゆっくりと動く。
その涼やかな瞳に、灯里は目を細めて微笑した。
多分、晃人を受け入れたいと思う日はそんなに遠くないだろう。
これから自分はこれまでにないスピードで晃人に惹かれていく。
そんな気がした……。