悪魔のようなアナタ ~with.Akito~
晃人は涼しげな瞳を細め、余裕の笑みで両親を見る。
その貫禄すら漂う表情に父は一瞬面食らったようだったが、すぐに気を取り直して口を開いた。
「そ、そうだったのか。知らなかった」
「先にご挨拶するべきでしたね。申し訳ありません」
「いやいや、晃人君ならわしも安心だ。昔から君には灯里の面倒をよく見てもらった。君になら灯里を任せられる」
父の言葉に灯里はぽかんと口を開けた。
娘が外泊したというのに『安心だ』とは……。
その信頼度に思わず唖然とする灯里の横で、晃人は優雅な所作で一礼した。
「それでは失礼いたします」
晃人は車に乗り、扉を閉めてエンジンをかけた。
もう一度両親の方に向かって軽く一礼した後、ゆっくりと車を発進させる。
道の向こうに遠ざかっていくジーマを、灯里と両親はぼーっと見つめていた……。