悪魔のようなアナタ ~with.Akito~
「……っ、晃くん、えっと、その……」
『あぁ、電話したのはメールの件だ。灯里、24日は空いているか?』
直球ストレートな質問に灯里は一瞬息を飲んだ。
昔からそうだが、晃人の前で何かを誤魔化したり嘘をつくのは至難の業だ。
しばしの沈黙の後、灯里は観念して口を開いた。
「……空いてるよ」
『そうか、ならよかった。一緒にランチにでも行こう』
晃人の言葉に灯里は眉を上げた。
ランチであればそんなに心配する必要はないかもしれない。
ほっと息をついた灯里に、晃人は電話越しにくすりと笑った。
『安心しろ。俺はお前を困らせることはしない』
「っ、晃くん……」
『気楽に来ればいい。灯里、何か食べたいものはあるか?』
きっと晃人は灯里の迷いも戸惑いもわかっていたのだろう。
灯里は肩を下ろし、目を伏せた。
温かい気持ちが胸いっぱいに広がっていく。
晃人の寛容さや余裕は昔から灯里の心に安心感を与えてくれた。
お互い大人になった今でもそれは変わらない。
多分自分は晃人に甘えてしまっているのだろう。
「うーん……何がいいかな……」
『特になければ、俺の方で探しておくが?』
「うん、じゃあお願いするね」