悪魔のようなアナタ ~with.Akito~
取締役と言うと窓際で片手団扇というイメージだったが、実際はけっこう大変な役職らしい。
もちろん会社にもよるのだろうが……。
それに加えて晃人は忍村商事の総務・経理全般の責任者でもある。
ほぼ全ての会議に出ていることを考えても、相当忙しいのだろう。
「そっかー……。頑張ってね、晃くん」
『ああ。ところでお前、明日の新年会は出るのか?』
「うん。そのつもりだけど?」
『そうか。では帰り、どこかで待ち合わせて一緒に帰ろう』
晃人の言葉に灯里は思わず頬を染めた。
これはいわゆるお忍びデートというものだろうか?
無言になった灯里に、晃人は電話越しに笑う。
『一緒に飲みに行くのもいいかもしれないな。そうだな、どこか……』
「……?」
『個室のある店を見繕っておく。詳しいことはまた明日、連絡する』