悪魔のようなアナタ ~with.Akito~




取締役と言うと窓際で片手団扇というイメージだったが、実際はけっこう大変な役職らしい。

もちろん会社にもよるのだろうが……。

それに加えて晃人は忍村商事の総務・経理全般の責任者でもある。

ほぼ全ての会議に出ていることを考えても、相当忙しいのだろう。


「そっかー……。頑張ってね、晃くん」

『ああ。ところでお前、明日の新年会は出るのか?』

「うん。そのつもりだけど?」

『そうか。では帰り、どこかで待ち合わせて一緒に帰ろう』


晃人の言葉に灯里は思わず頬を染めた。

これはいわゆるお忍びデートというものだろうか?

無言になった灯里に、晃人は電話越しに笑う。


『一緒に飲みに行くのもいいかもしれないな。そうだな、どこか……』

「……?」

『個室のある店を見繕っておく。詳しいことはまた明日、連絡する』


< 46 / 171 >

この作品をシェア

pagetop