悪魔のようなアナタ ~with.Akito~
翌日。
新年会に出席した灯里は山岡課長の隣で並べられた料理に箸を伸ばしていた。
新年会の出席者は約100人。
灯里は端の方の席でのんびりと料理を楽しんでいた。
あれからまだ、晃人から連絡は来ていない。
多分年明けということでいろいろ忙しいのだろう。
と、遠くのテーブル席を見ると……。
晃人が役員やら部課長やらに囲まれている。
いつもの光景だが灯里は心のどこかが沈むような気がした。
晃人は会社では雲の上の存在だ。
見つめる灯里の視線の先で、ビール瓶を手にした女性が近づき、座る。
経理部の香川さんだ。
香川さんは笑顔で晃人にビールを注ぎ、晃人も穏やかな表情でそれに応える。
艶やかな長い黒髪を後ろでまとめて大人っぽい赤いルージュを引いた香川さんと、精悍で大人の雰囲気に満ちた晃人はこう見ると一枚の絵のようだ。
「……っ……」