悪魔のようなアナタ ~with.Akito~
灯里は明るい声で言った。
まだ覚悟はできていないが、晃人と一緒の時間を過ごせるというのは灯里も嬉しい。
――――昔から変わらない、頼りになる幼馴染。
けれど10年前に比べて、晃人の包容力や大人びた態度、そしてたまに見せる強引さにドキドキするようになったのは事実だ。
『灯里』
「ん?」
『24日、楽しみにしてる。おやすみ、灯里』
艶っぽいバリトンの声に灯里は思わず息を飲んだ。
腰からかくんと力が抜け、身体の奥がぶるっと震える。
灯里はツー、ツーと鳴る電話を呆然と握りしめた。
――――なんだろう、これ。
今まではこんなことなかったのに……。
『お前が俺を好きになるように……、遠慮はしない』
この間の晃人の言葉を思い出す。
まずは声からといったところなのだろうか?
電話越しならまだしも、至近距離でこんな声を聴いたらまずいかもしれない。
「……っ」
灯里は心臓をバクバクさせたまま、携帯を握りしめていた……。