悪魔のようなアナタ ~with.Akito~
月明りの下、寄り添って歩く二人の影が砂浜の上に伸びる。
――――さすがに1月の夜は寒い。
今年はまだ雪が降っていないがもう少ししたら積雪のシーズンになる。
灯里は歩きながら昔のことを思い出した。
幼い頃は雪が降ると晃人の家の庭で一緒に雪遊びをした。
雪だるまを作ったり、雪合戦をしたり……。
そして雪で手先が冷えた灯里に、晃人は『おいで』と家の中に呼んで温かいミルクティを淹れてくれた。
懐かしい想い出に浸る灯里に、晃人が尋ねる。
「灯里、初詣はどうする?」
灯里は慌てて顔を上げた。
晃人少し笑い、繋いだ灯里の手を自分のコートのポケットにそっと入れる。
昔も晃人はよくこうして灯里の手を温めてくれた。
いつでもどんな時でも、晃人は自分のことを考え接してくれた。
これからは自分も晃人の望みを聞いていきたい。
灯里は笑って晃人を見上げた。
「あたしはいつでもいいよ。晃くんの都合に合わせるよ」
「そうか。では日程を調整したら、連絡する」
「うん」
晃人の言葉に灯里は頷いた。
晃人の手の温かさを感じながら、ゆっくりと海岸を歩く。