悪魔のようなアナタ ~with.Akito~
「ねぇ、晃くん」
「なんだ?」
「晃くんは初詣で何をお願いするの?」
昔、一緒に初詣に行くとき、灯里は興味本位でよく晃人に同じことを聞いた。
その頃は受験の合格祈願だったり、家族の健康という答えが返ってきた。
灯里の質問に、晃人はふと足を止めた。
そのまま真剣な瞳で灯里を見下ろす。
見上げる灯里の頬を、晃人の手がそっと包み込む。
「そうだな。……お前が一年、幸せであるように。心穏やかに過ごせるように」
「晃くん……」
「お前が幸せであれば俺も嬉しい。それ以外に望むことはない」
晃人の言葉が灯里の心に水のように染み渡っていく。
灯里は胸の奥が熱くなるのを感じた。
――――晃人がくれる、真心からの言葉。
灯里の目頭に熱いものがこみ上げる。
それに押されるように灯里は口を開いた。