悪魔のようなアナタ ~with.Akito~
「晃くん……」
「……?」
「あたしも、……晃くんが幸せなら、あたしも嬉しい」
灯里の言葉に、晃人は驚いたように眉を上げた。
手を離し、灯里の両肩を掴む。
灯里は滲む視界の中、晃人をじっと見上げていた。
「……灯里……」
掠れたバリトンの声とともに、そっと唇が重なる。
――――温かく、優しい口づけ。
二人の温かい気持ちが唇の間で溶けていく。
やがて晃人は唇を離し、灯里をそっと抱き寄せた。
「まずいな。……こうしていると、帰したくなくなってくる」
「晃くん……」
「行くぞ、灯里。家まで送ろう」
晃人は灯里の肩を抱き、再び歩き出す。
背をそっと押され、灯里もゆっくりと歩き出した……。
――――そんな二人の姿を。
黒髪の女が鋭い目で物陰から見つめていたことに、二人が気付くことはなかった……。