悪魔のようなアナタ ~with.Akito~
「ちょ、ちょっとっ……!」
叫ぶ灯里に構わず、男たちは無言で路地の奥へと灯里を連れていく。
灯里は両腕を掴まれたまま、強引に引きずられていった。
あまりに突然で何が起こっているのか理解ができない。
唖然とする灯里だったが、路地の奥から一人の女が姿を現したのを見、眉根を寄せた。
女は艶やかな黒髪を肩のところで切り揃え、華奢な躰に上品なアンゴラのコートをまとっている。
指先には綺麗なマニキュアが施され、身なりも身に着けているものもまさに『大人の女性』という感じだ。
女は灯里につかつかと歩み寄り、灯里の前で足を止めた。
綺麗な瞳を歪めて笑い、灯里を見下ろす。
その目に宿る強い憎しみに灯里は背筋が凍るような気がした。
「あ……あのっ?」
口を開いた灯里を、女は憎々しげに見つめる。
女は唇の端に残忍な笑みを浮かべ、口を開いた。