悪魔のようなアナタ ~with.Akito~
「あなたが吉倉灯里、ね。……こんな小娘に、まさか寝取られるなんて……」
「……は?」
「あなた、どうやって晃人を籠絡したの? こう見えてかなりいい躰をしてるのかしら?」
女はくすくすと笑いながら顔を近づける。
灯里は女の容貌に息を飲んだ。
近くで見るとはっきりとわかる。
――――灯里とは比べ物にならないほど、美しく端整な貌。
その貌が憎しみに歪むのを灯里は呆然と見つめていた。
「私は九条朝子。晃人の婚約者よ」
「……っ!?」
灯里は呆然と目を見開いた。
――――晃人の婚約者?
けれど晃人は別れたと言っていた気がする。
混乱し眉根を寄せた灯里の頬を、突然衝撃が襲った。
パンという音と共に頬が赤く腫れる。
「……っ!!」