悪魔のようなアナタ ~with.Akito~
2.危険な男?
そして24日。
海岸通りのプライムタワーの前で灯里は晃人と待ち合わせをしていた。
灯里はビロード地の薄黄色のワンピースに、ヒールのパンプス、膝丈のコートといった格好で入り口の前に立っていた。
大人な晃人に合わせるためにはそれなりに大人っぽい格好の方がいいだろうと思い、いつもより少し頑張ってみた。
支度には時間がかかるが、たまにはこういうのも新鮮でいい。
見ると、周りには同じように恋人を待つ女の人や男の人が何人もいる。
灯里は周りをきょろきょろ見回しながら晃人の姿を探していた。
その時。
「ねぇキミ。ずっと誰か待ってるよね?」
灯里の横から茶髪の男が声をかけてきた。
刺繍入りの緑のジャンパーにジーパンを身に付け、耳には丸ピアスがルーズリーフのように並んでいる。
『今時の軽さ』を全身で体現したかのような男だ。
灯里は一歩身を引き、思わずまじまじと男を見た。
これはいわゆるナンパというやつだろうか?
一歩後ずさった灯里に、男も一歩近づく。