悪魔のようなアナタ ~with.Akito~
朝子のマニキュアが灯里の頬に赤い筋を作る。
灯里は頬に走る痛みに呆然とした。
――――一体何がどうなっているのか?
朝子は肩で息をしながら灯里を睨み上げる。
その瞳に灯里は息を飲んだ。
叩かれた頬の痛さよりも、朝子の瞳に宿る狂気じみた憎しみが灯里の心を抉る。
身動きしようとしても、男達に両腕を掴まれているので何もできない。
「いい? ちゃんと聞くのよ」
朝子はその目をすっと細め、灯里を正面から見据えた。
そして続いた言葉に灯里は驚愕した。
「身を引きなさい。晃人は私のものよ」
「……っ!」
朝子の言葉が灯里の心を引き裂いていく。
と同時に心の奥から何かが湧き上がってくるのを感じた。
灯里の幸せが自分の幸せだと言った晃人。
であれば自分も晃人の気持ちに応えたい。
相手がどんな人であろうと、負けたくはない……。
「イヤです」