悪魔のようなアナタ ~with.Akito~
「そんなに警戒しなくても~。何もしないよー」
男は目を細めて胡散臭い笑みを浮かべて言う。
何もしないなんて絶対嘘だ、と思いながら灯里はさらに一歩後ずさった。
――――面倒なことになってしまった。
男は楽しげに灯里を見下ろし、さらに一歩近づいた。
その時。
「俺の女に何か用か?」
地の底から響くようなバリトンの声が二人の間に響く。
はっと顔を上げた灯里の目に映ったのは、後ろから男の腕を掴み上げる晃人の姿だった。
晃人の瞳には灯里が見たことのないような昏く鋭い光が浮かんでいる。
灯里は思わず息を飲んだ。
「……っ、晃くん……」
苛烈で容赦のない瞳が男を見据える。
灯里に向ける、穏やかで優しい目からは想像もつかないような目だ。
見ているだけで鋭利な刃で胸の裏を撫でられているような、そんな気分になる。
――――目が離せない。