悪魔のようなアナタ ~with.Akito~
――――15分後。
「できたぞ、灯里」
晃人は粥の入った椀を片手に灯里の前へと歩み寄り、テーブルにカタンと置いた。
微かに気色味を帯びたそれは卵のお粥で、昔灯里が風邪を引いたときなどに晃人がよく作ってくれたものだ。
「懐かしいな……」
灯里は椀を手に取り、差し出されたスプーンでお粥を掬った。
椀から立ち上る優しい香りと、懐かしく優しい味に目頭が熱くなる。
「……っ」
灯里の目尻にじわりと涙が滲む。
心が弱っているのだろうか?
それとも……。
晃人の優しさに触れると、嬉しいと思うと同時に不安になる。
晃人のことは好きだ、けれど……。
得体の知れない不安が胸を覆っていく。
灯里は慌ててぐいと目元をぬぐい、スプーンを動かした……。