悪魔のようなアナタ ~with.Akito~
三章
1.打ち込まれた杭
――――3日後の朝。
灯里は洗面台の前で自分の顔をじっと見つめていた。
頬のガーゼを取り、鏡の方に身を乗り出して傷口をチェックする。
結局、あれから2日ほど会社を休んでしまった。
そろそろ出社しないとさすがにまずい。
「……」
朝子のマニキュアでできた切り傷はまだ治っていない。
殴られた部分は青痣になっているだけなので、コンシーラーとパウダーでなんとか誤魔化せるだろう。
灯里はコンシーラーを手に取り、恐る恐る塗り始めた。
が。
「……いたっ……」
患部に触れると痛みが広がる。
しかし、なんとか隠さないと会社に行けない……。
灯里は鏡の前で30分ほど格闘し、ようやく化粧を終えた。
こんなに化粧に時間をかけたのは生まれて初めてだ。
「……」