悪魔のようなアナタ ~with.Akito~
<side.朝子>
窓越しに午後の日差しが部屋の中へと差し込んでくる。
海沿いに立つマンションの最上階の一室で、朝子は部下からの報告を受けていた。
「……そう、なるほどね……」
男が差し出した書類にざっと目を通し、朝子は呟いた。
部下といっても仕事上の部下ではなく、金を握らせた探偵だ。
書類にはとある女の情報が細かく載っている。
朝子はばさっと艶やかな黒髪をかき上げ、ため息交じりに書類を眺めた。
「まさか幼馴染とはね……」
朝子の瞳に鋭い影がよぎる。
幼馴染とは想定外だ。
朝子は灯里の面差しを思い出した。
あと少しで晃人と結婚できるというところで彼の前に現れ、彼の心をあっさりと奪っていったあの女……。
晃人があの子供っぽい女のどこがいいのか、正直自分にはわからない。
けれど……。