悪魔のようなアナタ ~with.Akito~


「まだ小さかった君がこんなに大きくなるなんてね。月日が経つのは早いものだ」

「……おじさん……」

「アメリカに行って以来、会ってなかったが……ご両親はお元気かね?」


目を細めて重人は言う。

しかしその目は鋭く、笑ってはいない。

灯里は息を飲み、口を開いた。


「え、ええ……」

「そうか、それはよかった」


重人は軽く息をつき、灯里の瞳を正面から見た。

――――晃人の瞳によく似た、切れ長の瞳。

重人はじっと灯里の目を見据えながら、ゆっくりと口を開いた。


「さて、本題だがね。君は今、晃人と付き合っているのかね?」


重人の言葉に灯里は背筋を凍らせた。

――――予感的中。

灯里は震える唇を必死で押し開き、言った。


「……は、はい」

「あれに婚約者がいるのは知っているかね?」


重人の言葉に灯里は口を閉ざした。

――――知ってはいるが、晃人は別れたと言っていた。


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