悪魔のようなアナタ ~with.Akito~




「あれの結婚相手は九条グループの社長の娘だ。君も九条グループは知っているだろう?」

「……はい」


九条グループは隣町に本社がある企業グループで、忍村ほどではないがそれなりに規模も大きい。

確かにあの時、あの女性は九条と名乗っていた。


「忍村は九条と関わりが深い。両グループの命運があの二人にはかかっているのだ」

「……」

「もしこの結婚がうまくいかなかったらどれだけの影響が出るか。……君ももう子供ではない、それはわかるね?」

「……っ」

「そしてそうなった場合、忍村での晃人の立場がどうなるか。想像はつくだろう」


重人は淡々と諭すように言う。

灯里はその場に立ち尽くしたまま重人の言葉を聞いていた。

――――忍村での晃人の立場。

身分が釣り合わないことはわかっていたが、さすがにそこまでは想定していなかった。


「……」


< 83 / 171 >

この作品をシェア

pagetop