悪魔のようなアナタ ~with.Akito~
「あれの結婚相手は九条グループの社長の娘だ。君も九条グループは知っているだろう?」
「……はい」
九条グループは隣町に本社がある企業グループで、忍村ほどではないがそれなりに規模も大きい。
確かにあの時、あの女性は九条と名乗っていた。
「忍村は九条と関わりが深い。両グループの命運があの二人にはかかっているのだ」
「……」
「もしこの結婚がうまくいかなかったらどれだけの影響が出るか。……君ももう子供ではない、それはわかるね?」
「……っ」
「そしてそうなった場合、忍村での晃人の立場がどうなるか。想像はつくだろう」
重人は淡々と諭すように言う。
灯里はその場に立ち尽くしたまま重人の言葉を聞いていた。
――――忍村での晃人の立場。
身分が釣り合わないことはわかっていたが、さすがにそこまでは想定していなかった。
「……」