悪魔のようなアナタ ~with.Akito~
立ち尽くす灯里に、重人は小さく息をついた。
傷ついた幼い子供を見るような、痛ましげな目で灯里を見る。
「君のことは昔から知っている。できればこんな形で再会したくはなかったな」
「おじさん……」
「君は君の幸せを掴んでほしい。……それではな」
重人は言い、踵を返した。
ゆっくりとハイヤーの後部座席に乗り込み、ドアがパタンと閉められる。
遠ざかっていく黒い車体を、灯里は呆然と見つめていた……。