悪魔のようなアナタ ~with.Akito~



――――それから、一週間。


灯里は電機設備課の自席でカタカタとキーボードを叩いていた。

が、心は晃人のことで占められ画面の内容が頭に入ってこない。


あれから晃人は忙しいらしく、メールや電話の頻度が少し下がった。

ここ一週間、会社でも晃人に会っていない。

それを寂しいと思う一方、どこかでほっとしている自分がいる。

今のこんな自分を晃人に見られたくはない……。


「灯里ちゃん」

「……」

「ねえ、灯里ちゃん?」


山岡課長の声に灯里ははっと顔を上げた。

慌てて笑顔を作り、課長を見る。


「な、なんでしょうか、課長?」

「この頃上の空だよね、灯里ちゃん。何かあったのかい?」


山岡課長の言葉に灯里は慌てて首を振った。

――――課長に気付かれるほど重症だったとは、自分でもショックだ。

今の状態ではますます晃人に会うわけにはいかない。


灯里はため息をつき、ノートパソコンの画面に視線を戻した……。


< 87 / 171 >

この作品をシェア

pagetop