悪魔のようなアナタ ~with.Akito~
――――それから、一週間。
灯里は電機設備課の自席でカタカタとキーボードを叩いていた。
が、心は晃人のことで占められ画面の内容が頭に入ってこない。
あれから晃人は忙しいらしく、メールや電話の頻度が少し下がった。
ここ一週間、会社でも晃人に会っていない。
それを寂しいと思う一方、どこかでほっとしている自分がいる。
今のこんな自分を晃人に見られたくはない……。
「灯里ちゃん」
「……」
「ねえ、灯里ちゃん?」
山岡課長の声に灯里ははっと顔を上げた。
慌てて笑顔を作り、課長を見る。
「な、なんでしょうか、課長?」
「この頃上の空だよね、灯里ちゃん。何かあったのかい?」
山岡課長の言葉に灯里は慌てて首を振った。
――――課長に気付かれるほど重症だったとは、自分でもショックだ。
今の状態ではますます晃人に会うわけにはいかない。
灯里はため息をつき、ノートパソコンの画面に視線を戻した……。