悪魔のようなアナタ ~with.Akito~
3.容赦はしない
<side.晃人>
金曜の昼休み。
晃人は取締役室の自席で灯里からのメールを読み返していた。
『ごめんね、今週末は家族で旅行に行くの』
晃人は射るような目でメールを見つめていた。
先週は友達と約束があると言い、今週は家族と旅行に行くと言う。
メールの頻度は激減し、会社では徹底的に避けられ、夜に電話してもすぐに切られてしまう。
「……灯里……」
灯里は隠し事ができる性格ではない。
多分何かあったのだろう。
何があったのかは晃人もなんとなく予想がついている。
しかし。
「……なぜ俺に相談しない?」
晃人の瞳が鋭い刃物のように昏く輝く。