悪魔のようなアナタ ～with.Akito～

晃人は言い、灯里を引きずったままスタスタと車の方へと歩き出した。

灯里はなすすべもなく、晃人に引きずられるように車へと向かった。

後部座席に押し込められ、鍵を掛けられる。

その雰囲気は固く冷たく、いつもの優しさは微塵も感じられない。


これまで、晃人が本気で怒ったところを見たことはない。

晃人は灯里の前ではいつも優しく寛容で、その穏やかな眼差しでいつも灯里を見守ってくれた。


固まった灯里の視線の先で、晃人は無言で車を発進させる。

バックミラー越しに映る晃人の顔は固く表情がない。

息を飲んだ灯里に、晃人は唇の端を歪めて笑う。


「心配するな。話をしたいだけだ。……今のところは、な」


晃人の足がゆっくりとアクセルを踏む。

いつもと変わらない丁寧な運転だが、何かがいつもと違う。


車は市街地の方へと走っていく。

灯里は後部座席で、なすすべもなく体を強張らせていた……。