悪魔のようなアナタ ~with.Akito~
「灯里、……お前、自分が何を言っているのかわかっているのか?」
「……っ……」
晃人の怒りに満ちた声に、灯里の胸が震える。
晃人は灯里をじっと見つめ、掠れた声で続ける。
「灯里、もう一度聞く。……これが最後だ」
晃人の言葉に灯里はびくっと背筋を強張らせた。
――――これが、最後。
「なぜ俺を避ける?」
灯里はぐっと唇を噛み締めた。
ずっと昔から大好きだった、晃人の声。
この声を聴くだけで温かい何かに包まれるような気がした。
――――もうこの声を聴くのも最後なのかもしれない。
心が血を流していく。
灯里はその痛みから逃れるように、震える唇を開いた。
「だからっ、あたし晃くんのこと、嫌い……」
と言いかけた、その瞬間。
灯里は物凄い力で腕を掴まれ、晃人の胸元へと引き寄せられた。
勢いのまま晃人の胸に額をぶつける。
はっと顔を上げた灯里の目に、怒りと悲しみに満ちた晃人の瞳が映る。