不格好な恋愛。~Special Short Novel~


夜の外に出た。

月と星の明かりのお陰で、腕を引っ張っていた人の正体がわかった。


「お、王子様!?」

「また会いに来るって言ったでしょ?」


王子様がそう言ってにこっと笑って掴んでいたあたしの腕を離した。


「ごめんね?痛かったでしょ?」


王子様が掴んでいた部分を撫でながら言った。

ドキドキしすぎて何も考えられない。

ドキドキしすぎて心臓が出そうだよぉぉっ。


「そそそそんな、大丈夫ですよっ…。…それよりも、どうしてこんなところに?」

「どうしてって、中にいると君とゆっくり話せないからね」


まーた素敵スマイルぅーっ!!

それはダメです、王子様…


「そ、そういうことではなくて…どうして私のところになんか?」

「君が気に入っちゃったんだよね。もっと話がしたくてさ。踊るだけじゃ足りなくて」


こ…こんなこと言われたの初めてだよぉぉ。

絶対今あたし顔赤いッ…。


「君のこと、もっと知りたいよ。教えてくれない?」


ももももう無理っ!!



パッ



ドキドキが限界で王子様の手を離してしまった。

王子様はビックリした顔であたしの顔を見ていた。


「……!!ご、ごめんなさいっ…」

「僕のこと嫌い?」

「そ、そうではなくて…」


ちょっとした沈黙が流れた。

この気まずい雰囲気、どうしよう。

王子様が傍にいるというドキドキとこの雰囲気への不安が入り混じってどうにかなりそうだった。

王子様があたしの元から少し離れて夜空に浮かんでいる満月を見た。


「踊った時から君のことが忘れられないんだ。恋は何度もしたけれど、こんなにドキドキするのは初めてだ。」


あたしは黙って俯く。


「僕が君を守っていく…いや、守らせて欲しい」





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