不格好な恋愛。~Special Short Novel~
あたしと王子様は舞踏会を抜けだして、王子様の部屋に来ていた。
お屋敷にあった家具よりもさらに高そうなものがずらりと並んでいる。
すごいものだらけで、どこを見たらいいかわからなかった。
「まぁ座ってよ。紅茶を入れるから待ってて」
王子様にそんなことをさせるのはダメだと思い、自分でやろうとした。
「いいからいいから。座っててよ」
「でも…王子様にそんなことさせるなんて…」
「いいんだ。俺にやらせてよ。君が火傷をしたら困るだろ?」
紅茶を入れるだけで火傷なんてするはずがないけど、その優しさにまたしてもドキドキしてしまった。
王子様の言葉に甘えて淹れてもらうことにした。
「ありがとう」
彼が淹れた紅茶を飲みながらいろんな話をした。
住んでいた世界が違くても、人を愛する気持ちは変わらない。
愛する、ということはどこでも共通なんだ。
ふと、彼のテーブルがある壁に首飾りが飾られているのが目に入った。
気になってそれがある場所まで行って手にとって見てみた。
「それが気になる?」
彼もこっちに寄ってきた。
なんだか、男らしくてカッコイイ首飾りだった。
「ちょっと貸して」
彼が手を出した。
あたしはそれに従って首飾りを渡した。
すると、彼があたしの後ろに回ってその首飾りをあたしの首にかけた。
「君にあげるよ。とても似合ってる」
嬉しくなって思わず自然と笑みがこぼれた。
「ありがとう」
彼はにこっと笑ってあたしの頭を撫でた。