不格好な恋愛。~Special Short Novel~
「もうそろそろ寝ようか?」
「もうそんな時間?」
この世界には時計がない。
時間感覚が全然わからないから、体内時計でどうにかするしかなかった。
「あたし泊まっていってもいいの?」
「もちろん」
迎えの馬車とか来るかもしれないから、今日は王子様のところに泊まるということを王子様に仕えている人に伝えて、迎えに来た人に言ってもらうように頼んだ。
………泊まるっていうことはあれだよね?
…あれですよね!?
ごめんなさいごめんなさい、変態思考でごめんなさい。
でも、彼氏の家のお泊りってこれしか考えられなくて……………ていうか、王子様を彼氏と呼んでいいのかわからないけれど…。
彼は部屋のカーテンを閉めて、部屋の明かりを消した。
点いているのはベッドの近くのランプだけ。
「おいで」
彼はベッドの中に入って手招きした。
あたしは素直にベッドの中に入らせてもらうことにした。
「お…おじゃまします」
あたしがベッドに入るなり、彼はあたしにぎゅーっとしてきた。
ちょっとだけ苦しい気がするのは気のせい?
あたしも彼にぎゅーっとし返した。
彼があたしから離れてランプの明かりを消した。
何も見えなくなって、わたわたしていると口に何かが触れた。
2回目の王子様とのキス。
これがドキドキせずにいられますか!?
相手はイケメン王子だし、彼氏だし、夜だし、一緒に寝てるし、またいつの間にかぎゅーされてるし…。
夢じゃないよね?
そう言い聞かせながら目を閉じて王子様のキスに応えた。