不格好な恋愛。~Special Short Novel~
また…あとで?
一体どういうことだろう?
そうこう考えているうちに会場が真っ暗になった。
会場がざわつき始めたが、とある場所にスポットライトが当たってざわつきが一気に消えた。
「今からちょっとした遊びをしようと思います。全員参加でお願いしますよ?」
王子様がスポットライトに当たりながら言った。
どうやら今から会場を真っ暗にして音楽隊にちょっとだけ演奏してもらって、音楽が止まったところで明かりをつけて、目の前にいた人とダンスを踊る、とい企画をやるらしい。
あたしはそんなのどうでも良かった。
すっかり王子様のことが気になっちゃってしょうがなかった。
無意識に王子様のことを目で追っていた。
途中で王子様と目が合ったんじゃないかと思ってドキドキもしていた。
こんな気持ち久しぶりだよね。
最近忙しくて全然恋なんてしていなかった。
したいけど、する余裕なかったからね。
このドキドキが新鮮で、この瞬間瞬間を楽しんでいた。
辺りがまた暗くなって音楽隊の演奏会が始まった。
あたしはどうでも良くなって壁側に寄って参加しないようにしていた。
もし明かりがついたときに踊ることになったら、王子様みたいに踊れないあたしをリード
しいてくれる人なんていないだろうから、踊れないことにただ恥をかくだけ。
そんなのは嫌だから参加しない方がいい。
王子様に全員参加って言われたけど…。
壁側に寄ってじっとしていると、突然急に腕を誰かに掴まれてぐいぐい引っ張られた。
「ちょっ…!!何するの!?」
腕を掴まれたまま連れて行かれて、音楽隊の演奏が遠くから聞こえるようになってきた。