【短編】君が好きなんです。
わたしをコンクリートの壁に追い込んだ珠輝くんは、わたしをジッと見つめてそう言った。
わたしはなにが起こっているのかわからなくて、ただただ目をパチパチさせるだけ。
「……お前、俺がお前のことなんとも思ってないって、ほんとにそう思ってる??」
「えっ……あっ、えっと、わからない」
珠輝くんとの距離が近すぎて、恥ずかしい。
「……お前みたいに俺にくっついてくる女、お前がはじめてだけど」
そう言った珠輝くんの黒いサラサラの髪の毛が、風に揺れる。
同時にわたしの髪の毛も揺れる。
「たっ……珠輝くん??」
ちっ、近いよ……。