同居人はNo.1ホストー1ー213ページまで修正







温かくなったタオルを冷たい氷水で冷やし力一杯絞り最低男の熱い額に冷えたタオルを置く。




身体、寒かったりしないかな?そう思ったあたしは「寒くない?」と聞いて最低男に手を伸ばすとー……




「…え?」




あたしの手は最低男の手にしっかりと握られていた。




「ちょっと、なにこの手」




「…ないで…くれ…行く…な……“まりな”……」





最低男の口から“まりな”という名前が小さく零れた。




あたしは、そんな最低男に思わず言葉を失ってしまった。




最低男が女の名前を呼んでいた。けれどあたしが言葉を失ってしまったのは女の名前を呼んだからじゃない。




あたしが言葉を失わせたのは、“まりな”という女の名前を呼ぶ最低男の声だった。




か細い声だったけどその声は、あたしや他の人達とは違うものだった。偉そうでいつも不機嫌そうな声じゃなく甘く優しい声だった。




それどころかあたしの手を握るその手は、凄く強くけれどとても優しいものだった。




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