人形の微笑



「……………」


リリスは無言で手綱を操ると、馬をその場で止まらせた。


そして、手綱をクロアに手渡しながら


「このまま真っすぐ進めば、ルスカ国に到着します」


そう告げて、


『ここから先は、クロア一人で行ってください』


『私は、ここで降ります』



……その一言が、どうしても言えなくて、俯いた。


……いや、言えないんじゃない。


『……言いたく、ないんだ。私』




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