人形の微笑



そこで始めて、リリスは自分が『寂しい』と思っている事に気付いた。


「…………あぁ」


そうか。


私、いま、寂しいんだ。


今、ここで馬を降りたが最後――クロアに会えなくなるかもしれないから。


――意を決して、顔を上げる。


目の前にあるのは、クロアの心配そうな顔。


……あぁ、どうしよう。


『寂しい』と同時に、クロアが『愛しい』と思い始めて――…胸の中が、『切なく』なる。



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