人形の微笑
リリスは、自分を穴が開くほど見つめるクロアに笑いかけながら腕を伸ばし、クロアの頬に触れた。
――すぐに、コルトは追ってくる。
だから……今すぐに、自分の想いを伝えなければいけない。
リリスは、コルトが追って来ていないか耳を澄ませながら、自分の想いを形にするために息を吸い込んだ。
「……クロア。
私は今まで、[冷酷人形]として生きてきました。
……命じられたままに、非情に相手を殺す暗殺者として。
けれど、忌み嫌われる存在である私に――…あなたがくれたのは、笑顔でした。
そんな『始めて』が、私にはとても嬉しかった」