人形の微笑
伝えずにはいられなかった。
人殺しと、一国の王子。
惹かれ合っていても、結ばれる訳が無いと分かっていても。
そしてその純粋な言葉は、
クロアの胸を真っ直ぐ貫いた。
―――――だが。
「…では、急いでここから立ち去ってください」
「リリス……?」
たとえ想いが通じ合ったとしても、自分達が追われている事には変わりない。
リリスは笑顔を消し、未だ心を震わせる感情を打ち消すと、馬上のクロアに命令した。