人形の微笑
「……リリ、ス…!!」
愛する人を守りたい。
守るために必要なのは、力だ。
俺の中に眠っている『はず』の力
――――それは、魔力。
神に祝福されし王族のみ使える、唯一無二の切り札。
「ぅわぁぁあぁああぁああ!!」
強い感情に目が眩み、景色が鈍色の光に染まる。
魔法を使えない自分への苛立ち、リリスを助けられない事への怒り、激しい後悔
――その激情に比例するかのように、クロアの体の熱が強まる。
ついに熱が臨界点に達し、クロアが獣のような咆哮を上げた瞬間――…
【その願い、叶えよう
――――我が主】
その声と共に、頭の隅で光が弾け、体を焼いていた熱が収束した。