人形の微笑
「……誰?」
この場所に来た時、他に誰かいないか徹底的に捜したのに。
クロアは訝りつつも後ろを向き、そして――息を呑んだ。
そこにいたのは、
【会うのは始めてじゃの、クロアよ】
金属特有の鈍色に輝く、
一頭の立派な馬。
――…クロアは、その姿に見覚えがあった。
かつてルスカ国に住んでいた頃、部屋にはこの馬の絵が飾ってあったし、
何よりルスカ国は、この馬を国の全てのモチーフに入れていたし。