人形の微笑
金属でできた馬は、優しげな瞳を向けてクロアへ近付いていく。
クロアも、呆然としたまま立ち上がり――…
【我が名はルスカ。
そなたの国の祖にして、金属を司る最古の魂の一つじゃ】
その答えを受けて、それがどんなに尊い存在なのかを理解したクロアは――…
「…我が名はクロア・ディーネ、ルスカ国第三王位継承者でございます」
サッと膝を折って頭を垂れ、王子として祖国の神に挨拶をした。
普段がどんなに脳天気でも、クロアとて一国の王子。
目上の人間に、反射的に挨拶するくらいはお手の物だ。
だが、
【……?なぜ我に頭を垂れる?】
神――ルスカは、目を丸くしてクロアを見つめている。