人形の微笑
【………ルカ、か】
「はい。だめですか?」
【………いや、よかろう】
ルスカ――ルカはそう言うと、何が面白かったのか、
突然くつくつと笑い出し。
その笑いが途切れる頃には、鉄柵が随分と近付いてきていた。
「懐かしいなぁ……」
数年前から会っていない父と母の顔を思い出し、思わず呟いたその瞬間……
【二人共、我にしっかりと掴まるが良い】
突然ルカにかけられた厳しい声に
「へ?」「は?」
俺達は訳がわからず、間抜けな声を出してしまう。
【特に主よ、リリスとやらをしっかり抱え直せ】
「え、なんで?」
【今から、この国境を強行突破して、直接城へ向かうからじゃ】
「えぇ!?」
予想外の発言に、俺もコルトも思わず目を剥いた。