人形の微笑
「くそッ、止まれぇ!!」
「なんで無傷なんだッ!?」
眼下で騒ぐ兵士の皆さん、そう言いながら俺らの前に弾幕を張らないでくれー!!!!
情けなくも半泣きになりながら、俺は腕の中のリリスを強く抱きしめた。
どくん…どくん…
という小さな心臓の音に、……ビビっていた気持ちが少しずつ落ち着いてくるのが分かる。
「――――リリス」
あと少しだから、頑張って。
心の中で願いながら、俺達はルスカ国に唯一建っているアルズガンド城へと入城した。
綺麗に整えられた庭の上に浮いた状態で、クロアは指示を飛ばす。