人形の微笑




見渡して見れば、俺の周囲を取り囲む兵士全員が、それぞれの武器を俺へ向けていた。



「―――名前は」



簡潔に聞いてくる声に含まれているのは、警戒。



「そりゃそうだよね……警戒されるよね……」



クロアはそう呟きながら、自分の首へ手を伸ばし、銀色に光るペンダントを取り出した。


馬の形を象ったそれは、ルスカ国の王族である証。


それを目の高さまで持ち上げて、大きな声で名乗る。




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