人形の微笑
素朴な、小さな疑問だった。
あの脳天気なアホの事だ、数時間であれ…私が倒れたとなれば、ベッドの横に立っていてもおかしくはない。
そう、思った……のに。
「………………」
「…………あー、それ、は、」
言い淀み、空中で視線をさ迷わせる二人。
それだけで『何かあった』と感付いたリリスは、
「ネネ様。……申し訳ありませんが、コルトと二人きりにしてくれませんか」
と頼んだ。
それを快諾したネネは、
「リリスさん、お体にだけは気をつけてくださいまし」
心配そうにそれだけ言うと、供の一人もつけずに部屋から出て行った。