人形の微笑



「…クロ、ア………」


初めて愛した、唯一の人だった。


命令に背いてまで護りたいと感じた、ただ一人の王子様だった。


なのに………、



今はもう、名前を呼ぶ事しか許されない。


結ばれる事など――今度こそ本当に、有り得ない。



「…………クロア…」



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