人形の微笑



不意、に。


リリスは、ネネの事が羨ましく、そして……妬ましく思えた。


その神が相手を決めるから、という理由で婚約を破棄されたにしろ……ネネには、魔力がある。


神が身体に宿っている可能性が、まだ残されている。



それに比べて、自分はどうだ。



「………………っ」



こんなにも。


こんなにも狂おしく、クロアの事を求めているのに。


凄腕の暗殺者[冷酷人形]という地位も、プライドも、捨てたというのに。


今まで感じなかった感情すら……私の中に芽生えたのに。



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