人形の微笑



上品にまとめられた焦げ茶色の髪に、

媚びなど一切ない凛とした様子。


そして……誰にも引けをとらないその美貌。



人とは違った雰囲気を持つリリスに、周囲の男性は興味津々だったのだが……



『そんなに私は、変なのか?』


リリスとしては、ただのいい迷惑でしかない。


自分に向けられる奇異と好色の視線に気付くたびに、眉を寄せて舌打ちをする。


ネネも、どこかへ行ってしまったし……どうすれば……


そんな事をリリスが考えた瞬間、大きな鐘の音が広間を揺らした。



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